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Nago Mitill
花が咲く季節を、 嫌悪するようになっていた。
あてもなく、ここを彷徨ったまま、 また一年が通り過ぎていったことを、
僕は、 ただ ただ、 感じるだけだ。
縫い上げた傷口を 再び引き裂くように、 この季節が 巡ってくる。
貼り付き、 焦がすだけの この想いは、
いつになったら、 この胸から去ってくれるだろう、 浄化されるだろう。
願い続け、 祈り続け、
それでも 僕は忘れられない。
再び、 花が咲く。
戻らない。 もう二度と戻らない。
この想いも、 時間も、 …あなたも。
陽光に輝き、 幸せそうに はらはらと流れる この花が咲くたび、
僕は 自分が抱えている存在を 自覚せずにはいられない。
求めるものを 数えるための、 指さえ失ってしまった手を
目も覚めるような 白く明るい日差しの下で、 ただ見るだけだ。
耐え切れないほど、 たとえ これから 時が過ぎても
幻のように 春は来るだろう、 花は咲いているだろう。
嘘をついた僕の真実を 花は誘いながら、 儚く、 逃げる。
そのたび、 僕を、 痛みが貫く。
穏やかに花を見れなくなって、 一体どれほど時が過ぎたのか。
ぬくもり、 移ろいながら この花が咲く。 …優しさに満ち満ちて。
花が咲く季節を、 僕は嫌悪するようになっていた。
(1999年・筆)
[備忘録]
7年前の私が、桜を題に詩を書いたら、こんなものが出来あがったようです。日本人にとって、桜は出会いと別れに付きまとう花ですから、桜を見ると、ただ美しいと思うだけでなくて、色々な記憶が思い起こされます。
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詩は思いついた時に書いてます。まったくもってノロノロなブログですが、週一更新を心がけております。のんびりご賞味下さい。