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Nago Mitill
吹き上げてくる風に手を広げて、
降り注ぐ雨に この身を溶かして、
ある日、 どこかへ消えてしまいたくなる。
久しぶりに気分のいい日だったから、 ふと 思いついて。
緑が まだ綺麗なうちに、
空の青が胸に ひどく染みて、
見上げても 見えない星が 僕を呼ぶから、
すべてを捨てて ここから立ち去れば、 二度と戻れはしない。
懐かしい歌声が、 緑深き闇の向こうから 僕を呼ぶ。
安らぎをくれるという優しい調べを、 幾人が聞いてきたのか、
僕は 何度、 その呼び声を聞いたのか。
その甘い響きは さざ波のようで、 いつからか ずっと 僕の耳に こだまする。
繰り返し、 打ち返し、 ふと湧き上がり、
忘れていた故郷のように、 僕を捕らえる。
僕は立ち止まり、 見つめる。 緑の闇の向こうを。
強い風が吹いて 木々がざわめき、 僕を呼ぶ声がして 振り返る。
世界がまだ綺麗なうちに、 ふと どこかへ消えてしまいたくなる。
繋いだ きみの手の体温、 僕の名を呼ぶ きみの声。
それが もし無ければ僕は、 どうなってしまうのだろう。
分からない、 本当は、 分からない。
孤独に抗う術を、 僕は まだ知らないから。
緑ゆらす風に 誘われて、
降り注ぐ光に この手を差し出して、
どこかへ消えてしまいたくなる。 自由な鳥のように。
気付けば風は止み、 さざ波の呼び声は 遠く日常の中へと消える。
まだ 僕は行かない。
この地上に、 僕の名を呼ぶ人がいる限り。
(2007年・筆)
「歌声」は、セイレン(別名・サイレン)の歌声をイメージしています。セイレンとは、ギリシア神話に出てくる妖怪(←?)です。その美しい歌声で、船乗りを惑わせて、死へといざなったといいます。
あんまり関係ありませんが、久々に温泉に行って、ピチピチになってきました。やっぱり、のんびり温泉で過ごすのはいいですね~。しかし、本人はピチピチなのに、完成した詩は少し暗め(汗)。
でも、毎年、夏になって、自然の生命力がガンガンに強くなると、お盆がきたりして、逆に死の気配を濃く感じることもあります。不思議ですね。
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詩は思いついた時に書いてます。まったくもってノロノロなブログですが、週一更新を心がけております。のんびりご賞味下さい。