「今をゼロにする勇気」 2006/11/26 (Sun)

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Nago Mitill

常に　ゼロ、

今が、　ゼロなんだ。

だから、　僕は　生きる。

 

目的、　理由、　使命、

そんなものが　人生にあるべきなんて、　僕には思えないんだ。

呼吸する一つの体と、　この心だけが

ただ、　僕のものだ。

 

今が　ゼロ、

全て、　ゼロなんだ。

なのに、　どうして運命が必要なんだい？

常に　ゼロ、

今も、　ゼロなんだ。

だから、　僕は走る。

 

将来の可能性を　はかってから　走り出せるほど

僕の命は　長くないから

不安も、　悲しみも、　僕にはないんだ。

僕は、　僕だけのもの。

苦しんでいられるほど、　僕は暇じゃないんだ。

だから、　僕は歌う。

 

常に　ゼロ、

今が、　ゼロなんだ。

だから、　僕は踊る、　走り続ける、　小さな大地の上を。

悩み、　迷い、　痛み、

そんなものが　人生に必要だなんて、　僕には思えないんだ。

強さも、　誇りも、　自信も、　

僕はいらない。

僕の中に　はじめから　全てはあったんだ。

 

過去は　ゼロ、

未来も、　ゼロなんだ。

なのに、　どうして　人生に価値が必要なんだい？

なぜ、　今　叫ばない？

なぜ、　今　歌わない？

いつまでも　迷っていられるほど、　この人生は長くはない。

 

常に　ゼロ、

今が、　ゼロなんだ。

だから、　僕は　生きる。

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（２０００年・筆）

［備忘録］

９０年代の詩は、人生を後ろ向きに、生を否定的に捉えることが多かったのですが、２０００年以後辺りから、生を前向きに捉えたものが多くなっています。

この「今をゼロにする勇気」は、今現在を人生のゼロ地点だと捉える勇気が何時も持てれば、もっと前向きに、ポジティブに人生を生きることが出来るんじゃないかと思って書いてます。将来の不安を深刻に考えすぎて、今も不安になっても仕様がないですし、過去がダメだったとアレコレ今悩んでも、どーにもなりません。

そして、今、何かの望みが叶わないとツラく感じるのは、過去の自分がその望みのために費やした時間や努力を惜しみ、「これだけ努力したのに叶わない」などと、過去に執着しているせいなのかもしれません。
今をゼロ地点と考えて、もう一度スタートを切りたい、そういう気持ちがあります。

また、人生の目的や意義など、哲学的な意味を人生にあまり求めすぎると、かえって今が生き辛くなることも、しばしばです。
精神的に悩む前に、今、生きた体を持っていることにタダ感謝し、もっと自然に生を享受したい、そういう気持ちもあります。

関係ないですが、ゼロ…零は、密教の世界では、大日如来＝宇宙を示すもので、つまり世界のことを意味しています。「全てはゼロ」、興味深い言葉です。